『アトミック・リーディング』の感想
『アトミック・シンキング』の実質的続編。前作は面白く、「具体的に書くか?抽象的に書くか?」について考えさせられた良い本だったので、本作も面白く、学び多い本であることが期待された。
読書メモ術についての本だった。
自分には物足りない本だった。私にとってはありきたりなこと書かれており、大部分を読み飛ばしてしまった。
「メモの基本は〜とは〜である」の章題は、この頃私が感じていたことが言語化されており、「おっ!」となったが、内容は期待したものよりも浅く、もっと深掘りして欲しかった。
メモと命題論理と引っ掛けたり、「命題論理の連鎖性」「メモの連鎖性」「本のネットワーク性」を結びつけて論じているのを幻視してしまった。
さすがにニッチすぎるか。
しかし、上記のことについて考えるきっかけとなったため、「学びのある本」だったと言える。
使いまわす文章は具体的に
ノートはできるだけ抽象的に書く
アトミック・ノートも、自分の知識、アイデア、考えをできるだけ「汎用性が高いノート」としてまとめることを目指します。書いた文章は、できるだけ「普通」の、抽象的で汎用的な文章にする。そうすることで、書いた文章は様々な場面で応用しやすくなります。
文章を抽象的に書くか、具体的に書くかという切り口は興味深い。
筆者の五藤隆介氏は「文章を抽象的で汎用的にすると、多くの場面で応用しやすい」主張している(と私は読み取った)。この主張の対偶を取れば「応用しずらい文章は、具体的な文章である」となる。この主張とは反対に、「具体的な文章は、多くの場面で応用しやすい」という主張をしてみたい。
具体的な文章、つまり出来事についてかかれた文章は後から意味付けがしやすい。したがって、具体的な文章は応用が利き、使いまわしができる。想像もつかない使われ方ができるため、具体的な文章を書き残すことには大いに効果がある。
実例を上げれば、『アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術』の中で、携帯キャリアが牛丼が無料になるクーポンを配布していたことについて記載されている。まさかこの出来事が「ノートと思考の整理術」と結びつくとは、誰も想像できないだろう。
実際に、とある携帯電話キャリアを契約していると牛丼が一杯無料になるというキャンペーンがありました。
また、抽象的な文章は難解な文章になりやすく、根拠のない主張や議論を招きやすい。一方、具体的な文章は、何かを主張する際の根拠としやすく、その具体性によって共感を引き出しやすい。
上記により、日々の文章を書くという行為においては、抽象的なことのみならず、具体的なことを書き残すと良い。
想定される反論
じゃあお前は具体的な文章を書いてるのか。というかこの文章が抽象的だ。
- 抽象的なことばっかり書いて、具体的なことはあんまり書いてないかも……書きます。はい。日記で。
- 「実際に、とある携帯電話キャリアを契約していると牛丼が一杯無料になるというキャンペーンがありました。」という事例を載せているのでお目こぼし頂きたく。もっと事例を増やせというご指摘であれば、はい、その通りでございます。追々事例が見つかったら追記させてください。
一部を切り取っている。「毎日の出来事を文章にした日記を書く」の章では、出来事(具体的なこと)を書くことの重要性について書かれている。
- はい。やらかしてます。ただ、そちらの章で書かれているのは「出来事を文章として書くことで、文章力が付けられる」という主張かと思いますので、お目こぼし頂きたく。