『SFマガジン 2019年 02 月号』
文章で生きる道
ブログやそのプラットフォームの維持が難しいのは、そのままマネタイズの難しさであると考えてよい。文章書いているだけでバンバンお金が回るならば、今のような状況にはなっていまい。実際、広告費が入り込んでいるのは、動画メディアである。よって、そうしたマネー回路に接続したいのなら、ブログのような文章メディアはあっさりと捨て去って、新しい世界に飛び込めばいいだろう。
「ブログは金にならない」。17年ブログをやった倉下氏の結論がこれなのだろう。
さて、本当にそうなのだろうか?市場規模を見てみよう。ブログの収入源であるアフィリエイトの2020年度の市場規模は3,221億円(矢野経済研究所の調査より)である。一方、2020年の動画広告市場は2,954億円(サイバーエージェントの調査より)となっている。数字だけ見ればアフィリエイトのほうが市場規模が大きく、収入を得られる可能性が高く感じられる。ただ成長率に目を向けるとアフィリエイトは前年度比104.0%(矢野経済研究所の調査より)、動画は昨年比114%(サイバーエージェントの調査より)の成長となっている。この成長率の違いがブログ悲観論につながっている可能性はある。
ブログでは稼げないとして、なぜブログはお金を稼げるメディアにならなかったのだろうか。稼げる媒体がWebメディアとしての体裁を得ただけで、稼げなかった媒体がブログ、特に個人ブログと呼ばれているだけなのではないか。
文章が金にならないわけではない。新聞・雑誌・書籍などは文章で構成されているが仕事として成り立っている。単純に、文章の品質が問題なのではないか。ブログの文章はプロセスとして校閲を伴わないために、文章の質が低くなる傾向がある。
私がトンネルChannel | 倉下忠憲@rashita2 | Substackという媒体で試みているのは、それまでとは違ったゲームを展開できる場の模索である。
倉下氏はSubstackへの転換を試みている。
Substackを簡単に説明すると文章のサブスクリプションサービスを作れるサービスである。つまり著作者はSubstackを通して文章を配信することができ、それを読むためには月々の支払いが必要になる。支払われた料金のうちSubstackの取り分がひかれた金額が著作者に支払われる形態だ。
動画投稿プラットフォーム大手のYoutubeにもチャンネルと呼ばれるシステムがあり、これとSubstackは類似している。どちらにも購読という形の共通点がある。広告による不安定な収入ではなく購読者による安定した収入が著作者と消費者をつなぐ鍵なのかもしれない。