実はメモって人工知能より知識産業の本質に近い,ということはもっと認識されるべき。
デライト紹介文を書いたときのやり方
デライト紹介文は、愛着が生じない程簡単に書けた。書いたというより書かさったという感触がある。この現象を再現可能とするために、何が起こったのかを記録しておく。
どんなことを書けばいいのか分からなかった私は、先行事例に答えを求め、YoutubeでWorkflowyが出している動画を見た。機能の紹介が主で、それは私の求める形ではなかった。why → how → whatという形にしたいという思いがあった。まず最初に、「なぜデライトか?」に答える必要があった。
「なぜデライトか?」を換言すると、「なぜメモなのか?」という問いに還元された。私の中にこの問いに対する答えを持っていないと感じられたために、題目からの発想を放棄し、素材集めの旅に出た。私の中に答えを求めるのではなく、デライトの中に答えを求めた。その際、『なぜメモなのか』という輪郭をクリップボードに入れたまま、デライト、メモ、メモ、『TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』を見て回った。使えそうな素材が見つかれば、『なぜメモなのか』に引き入れて行った。
『メモはなぜ進歩しないのか』の中の「メモから世界が変わる」の一文にピンときた。この一文を少し変え、「メモが世界を変える」を中心に据えた。そこからは逆算で文章を書くことができた。
デライト紹介動画制作録
デライト、かにゃり高度にゃ思考解釈技術使ってるから、多分Youtubeのショート動画を作成して20代インテリか30代リーマン狙ったら来るね
デライト紹介動画つくるか~~ってなったけど、どんな動画作ったら刺さるのか見えてこないな。
他のメモアプリの動画をYoutubeで見てみたけど、ピンとくるの無かったな。機能紹介ぐらいしかしてない感じ。
『優れたリーダーはどうやって行動を促すか』みたいに、why → how → whatで説明したい。
Misskey紹介文とかはwhy → how → whatで説明しようとした(ちょっと失敗してる)。
まずはデライト紹介文を作ってみるのが良さそうか。
先立って「なぜメモなのか」から考えないといけないな……
風呂敷が畳まった。読み上げさせてみるか。
デライトの紹介文を読み上げさせた。 https://misskey.io/notes/9761hiyfk4
動画にしたろう
DaVinci Resolveをダウンローディング!
音声はできたけど、映像どうしようかな。
WindowsデフォルトのPaintでお絵描きしたった。
そういうわけで、デライト紹介動画ができました。 https://youtu.be/VChPxHttedk
最初の投稿を見たのが、19時20分で、動画を投稿したのが22時37分なので、3時間17分で動画が作れる。
Youtubeの機能で日本語字幕をいい感じにして、英語の字幕も付けた。英語圏の人がデライトを使うかどうかは甚だ疑問だけど「やったれ」って感じでやったった
デライト紹介文
なぜメモなのか Why
メモは世界を変えます。メモは人間の思考を助ける最も基本的な手段です。メモが変われば人間の思考が変わり、人間の思考が変われば世界が変わります。
人間の思考は膨大です。コンピュータはその思考をすべてメモとして残す能力を持っています。そして残される膨大なメモを私たちは活用できているでしょうか?どのようにしてメモを位置付ければ良いでしょうか?
どうやってメモを「使う」のか How
メモの位置づけという問題は、メモ同士を直接結び付けることで解決されました。メモを探したいなら、メモからメモへと渡り歩けばすぐに見つけられます。メモを後から探せるようにしたいなら、関連するメモとメモを結び付けるだけです。
What
メモ同士が直接結びつくメモアプリ。デライトは概要欄のURLから今すぐ利用できます。
“知能増幅メモサービス”はなぜいま最も重要なのか
人工知能,仮想通貨・暗号通貨,仮想現実・仮想世界……等々,様々な分野が世界的な注目を集める中,これらを凌ぐ潜在力があるにもかかわらず,まともに語っているのは私だけなのではないか,と思えてしまう分野がある。それが「知能増幅」(IA: intelligence amplification)だ。
知能増幅というのは,文字通り,工学的に人間の知能を増幅させることを指す。古くからある研究分野だが,人工知能などに比べてその話題性は著しく乏しい(参考)。この言葉に「人体改造」に近い響きを感じる人は多いだろう。実際,脳にチップを埋め込む,遺伝子を書き換えるといった人体改造的な研究がこれまでの主流で,まず倫理的課題が大きかった。倫理的課題が大きければ技術的課題を解消するための実験などもしにくく,実用段階にある技術が存在しなかった。デライトが登場するまでは,古典的な SF の域を出ず,語れることも大して無かったわけだ。
先日の「デライトの使い方の考え方」で少し触れたように,デライトは,その知能増幅を誰でも簡単に触れるメモサービスとして実現した「知能増幅メモサービス」であり,「世界初の実用的な知能増幅技術」だ。どのように実現しているかはあの文章でざっと書いたので,今回は,この知能増幅メモサービスの意義について書いてみようと思う。
知能増幅の世紀
私は,ビッグ・テックや GAFAM などと呼ばれる世界最大の企業群(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)が合併して「Microappglezonbook」となり,自分がその経営を思うままに出来たらどうするか,という思考実験をすることがある。答えはいつも変わらない。iPhone も Google 検索も Windows も,世界最大の SNS も世界最大の通販サイトも,何もかも売り払って,知能増幅メモサービスの開発に全てをかける。
最近何かと話題のイーロン・マスク氏と入れ替わったとしても,やることは同じだ。テスラも SpaceX も Twitter も,何もかも売り払って知能増幅メモサービスの開発に全てをかける。ちなみに,氏の事業の一つには,まさに脳にチップを埋め込む系の知能増幅技術を扱う「ニューラリンク」があるものの,やはり,他の事業ほど目立った成果もなく,あまり知られていない。
つまるところ,あらゆる分野の中で,「知能増幅」が群を抜いて大きな可能性を持っていると私は考えている。これを多くの人が理解すれば,21世紀は間違いなく「知能増幅の世紀」になるだろう。世界初の実用的な知能増幅技術であるデライトは,その嚆矢だ。
知識を生み出す技術
長い前置きに似合わず,知能増幅メモサービスがなぜいま最も重要なのかという本題は,拍子抜けするほど単純明快な話だ。知識が最も価値を持つ時代において,最も価値のある知識は「知識を生み出す知識」であり,最も価値のある技術は「知識を生み出す技術」だからだ。まさにそれを研究開発するのが知能増幅という分野だ。そして,知能増幅メモサービスは,最も実現性の高い,実際にデライトが実現している知能増幅技術なのだ。
例えば,人工知能がいかに発達しようと,それを開発し管理し利用していくのはあくまでも人間だ。人間が愚かなまま機械だけが賢くなっても,人間社会にとってのボトルネックは必ず人間の愚かさになる。知能増幅技術は,人間のあらゆる知的活動を最も根源的な部分から持ち上げる技術であると言える。
……と,この単純明快な話を私がしたのは,昨日今日でもなければ一度や二度でもない。昔から,何度端的に語っても,意図するところが伝わった試しがない。どうもピンと来ていないというのか,大体の反応が「なるほど,で?」という感じだ。理屈はなんとなく理解出来ても,それが意味することの大きさを想像出来ていないのだ。その大きさを先に書いた理由だ。
節穴
思えば,この“ピンと来ていない感じ”というのは,「個人知識管理」(PKM: personal knowledge management)として認知されつつある分野に感じるものと似たところがある。その名の通り,個人が自らの知識を効果的に管理することに関してはすでに色々な方法論や技術が集められている。その代表的な手段として「メモ」があり,メモアプリやメモサービスなどと呼ばれるものも盛んに研究・開発されている。
このメモサービスを知能増幅に結び付けたのが「知能増幅メモサービス」というデライトの位置付けだが,これが,私が思っていたより変わった発想だったらしい,とデライトの宣伝を始めてから気付いた。個人知識管理の技術を発展させていけば,それは当然知能増幅に繋がる。この単純な発想が,意外にも共有しにくい。「デライトではこんな新しいことが出来る」と言っても,「なるほど,でも○○で間に合ってるから」という反応を受けることが多かった。そこには,想像していたよりずっと大きな温度差があった。
このあたりの分野をよくよく観察してみると,開発者にせよ愛好家にせよ,そこまで大きなビジョンを持っている人はほとんどいないことが分かる。要は,「生活術」とか「仕事術」とか「ライフハック」の範疇でしかとらえていない。個人知識管理が知能増幅に繋がり,それが世界を変える,なんて大それたことを考えている人間は,全くいないわけではないだろうが異端者だ。
私の立場からは「節穴同然の眼力」としか言えない分野の体たらくだ。「趣味の問題」で済む話でもない。そう思ったとしたら,ここまでの話が理解出来ていないか,想像力があまりにも足りない。ただただ,一人でも多くの人がこの分野の本当の可能性に気付いてくれることを願って,私は叫び続けている。
あれ
メモはなぜ進歩しないのか
昨日公開した「発明の祖母」という文章の中で,人間の情報処理能力を飛躍的に向上させる,いわゆる「知能増幅」の技術には実はそれほど需要が無い,ということを書いた。
その理由はいくつか考えられるが,そもそも世の中の大半の人が扱っている情報は,それほど多いわけでも複雑なわけでもない,というのが一番分かりやすいところだろう。そして,社会はその標準的な情報処理能力を前提として構築されている。多くの人は知能増幅が出来ればいいなと考えるだろうが,出来なくても困ることはない。
昨日の文章にも書いたが,現状,知能増幅技術というのは,「なくてはならないもの」ではなく「あったらいいもの」でしかないわけだ。
一方で,人工知能はもはやバズワードと言われるくらい商業的な価値を持っている概念だ。この差は一体何なのか,ずっと考えていた。
これは,人工知能という言葉が巷で熱狂的に使われるようになった時期と,仮想通貨が流行りだした時期が重なっていることからある程度説明出来るのではないかと思う。人工知能と仮想通貨を支えているのは,「人間を超越した何か」が我々の社会を変えてくれる,という期待だ。これを私は「新しい神」と呼び,これを崇拝するような言説を「技神論」(technotheism)と呼んできた。
なぜこの手の技神論が流行るのかというと,誰でも流行に乗れて,そんなに難しく考えなくても,何となく未来を大きく変えそうな,SF 的な分かりやすさがあるからだろう。開発者側から見ると,人工知能の方法論はある程度確立されていて,努力や投資が報われやすい世界でもある。要するに,世界観や価値観の転換を必要とせず,これまでの現代社会の延長線上で考えやすいのが人工知能や仮想通貨なのだと思う。
ただ,私は,いま世界に必要なのは「新しい神」ではなく「新しい人間」なのだという,ちょっと違う世界観を持っている。これを私は「技人論」(technohumanism)と呼ぶ。世界初の実用的な知能増幅技術とも言えるデルンの開発に成功した理由はここにある。
とはいえ,その世界観をどう普及させるのか,というのは難しいどころの話ではない。現代という概念が変わる話だ。これに気付いた時,私は限りなく絶望に近付いた。押し寄せる絶望感と闘い,突破口を探し続ける日々の中で着目したのが「メモ」だった。
デルンを極限まで軽常(カジュアル)にしたメモサービスを作ったらそれなりに受け入れられるんじゃないか,という閃きが,ライト版デルンこと「デライト」の出発点だった。
考えてみると,メモというのは人間の情報処理を助ける最も基本的な手段であるにも関わらず,紙の時代からほとんど進歩していない。実際,いまだに紙を使ったメモ法の類は重宝されているし,あえて勘報機(コンピューター)ではなく紙を使う,という人も少なくない。知能増幅技術に需要がないのと同じで,その程度で間に合ってしまうからだ。
ここにデルンを応用した,誰でも気軽に使えるメモサービス,メモアプリを投入したら,デルンの圧倒的な利便性に気付いてもらえるかもしれない。これに気付いた時,私の中で「メモ」は,人工知能や仮想通貨どころではない可能性が人知れず眠っている穴場中の穴場になった。
メモから世界が変わる……その日が現実に訪れる前に,こんな形で予言でも残しておきたくなった。