本論文で実施された実験の結果:
- 注意訓練はマインドフルネス瞑想よりも注意機能の向上に特化している
- マインドフルネスは導入が難しい
- 注意訓練やマインドフルネス訓練ではメタ認知スキルが向上しなかった
- 注意訓練は不安感受性や心配の低減につながる
検索するといろんなところで書かれているが、論文などの典拠が見つからない、示されていない。なので、それを探し出して示すことができれば価値がありそうだ。
「瞑想 扁桃体 縮小 site:ac.jp」など、日本語で探した限りは学術的な典拠を見つけ出すことはできなかった。
その代わりに『体験の観察が well-being を向上させる条件 ―無執着の観点から―』や『心配に対する注意訓練とマインドフルネスの比較』といった有益な論文が見つかった。
「meditation Amygdala size」と検索して、英語で探したら一瞬でそれらしい論文が見つかった(『Meditation and yoga practice are associated with smaller right amygdala volume: the Rotterdam study』)。
英語読むのめんどくせぇな。
外的に注意を向けるトレーニング(注意訓練)は,注意機能の改善に効果的であり,注意機能の改善が不安感受性や心配の低減につながったと考えられる.
()内は引用者による追記
ATTやマインドフルネス訓練では,メタ認知スキル(自分の思考から距離を置くスキル)が重要な媒介変数であることも示唆されている(Wells, 2006; Shapiro et al., 2006).しかし,本研究では,いずれの群においてもメタ認知スキルの向上は示されなかった.
本研究のマインドフルネス群の参加者による内省報告には,“難しい”,“よく分からない”というコメントが多かった.そのため,ATTに比べて,多くの要素で構成されたマインドフルネス瞑想は,実践の難しい課題であった可能性がある.
10日間110時間の集中的なマインドフルネス訓練が,行動指標で測定された注意の持続やワーキングメモリを向上させることも示されている(Chambers, Lo, & Allen,2007).
ATT群では,注意分割と気づき欠如の改善が示された.一方でマインドフルネス瞑想では,注意機能の向上は示されなかった.ATT群のみで,注意の向上が示された理由として,ATTはマインドフルネス瞑想よりも注意機能の向上に特化している可能性が考えられる.
身体感覚に注意を向けることは,心配による情動回避を修正するために有効な手段である.
マインドフルネス瞑想の手続きには,ATTと違って,呼吸や身体感覚のような自己注目を促進させる要素が含まれている(Papageorgiou & Wells, 2000).
2週間のマインドフルネス訓練が,大学生のメタ認知スキル(距離を置いた客観性)や抑うつ傾向を改善させることや(勝倉・伊藤・根建・金築, 2009),8週間のプログラムが,不安障害患者の不安症状を低減させることなどが報告されている(Miller, Fletcher, &Kabat-Zinn, 1995).
2-4週間のATTが,パニック障害や社会恐怖の患者の不安や破局的信念が有意に減少させることが報告されている(Wells, White, & Carter, 1997).
ATTは,選択的注意,注意切り替え,注意分割の3つの要素から成る訓練で(Wells, 2006),日常の生活音に注意を集中し,注意が音から逸れた場合には,その音へと注意を戻すように求められる.
心配による固執的な情報処理パターンを克服するために,Wells(2006)は,距離をおいた客観性の達成が重要であるとし,注意訓練(Wells, 1990: Attention Training Technique; 以 下,ATT) の使用を推奨している